ワイヤレス化と多様なフリーアドレススペース設置が高効率オフィスのキーワード
フリーアドレススペース  オフィス空間に関するコンサルテーションやプランニング、プロジェクトマネジメントを主業務とするコクヨオフィスシステム株式会社(以下KOS)が本社の移転を実施したのは、2003年の12月だ。「移転の理由は、大きく2つありました。ひとつが、以前のオフィスは2フロア4ゾーンに分かれていて、社内のコミュニケーションがスムーズにとれなかったこと。もうひとつは、ここ数年で大幅に進化した通信技術に対応できる執務環境が必要だと判断したことです」(コクヨ株式会社・広報部課長・大矢芳弘氏)。そこで、移転先にはフラットに各部署を配置できる物件を選択。さらに「電話やPCネットワークの完全ワイヤレス化」「フリーアドレスの徹底」を重点テーマに新オフィスを構築した。「これによって、組織変更時のレイアウト工事が大幅に簡略化しました。工事費用は以前の約10分の1で済みます。また、KOSでは、外まわり中心の社員が全体の約7割にもおよびます。フリーアドレス効果をさらに高めたことで、スペースも約20%削減できました。この結果、賃料を含めたオフィス維持費用の大幅削減を実現できたわけです」(同氏)。
●利便性の高い環境を整備して、スムーズにフリーアドレス方式を導入
可動テーブル席
@什器を自由に移動できる可動テーブル席

固定デスク席
AデスクトップPCを使える設計用の固定デスク席

カウンター席
B個人作業に集中しやすい窓側のカウンター席
 社員個人の専用席をなくし、複数人で座席を共有するのがフリーアドレスだ。ここ数年、導入企業が増えているが、単純にフリーアドレススペースを用意して使い方のルールを押しつけるだけだと、失敗するケースも多い。「KOSのオフィスはパソコンも電話もすべてワイヤレス化してありますから、ノートPCと携帯電話、書類を持ってくるだけですぐに仕事に取りかかれます。結局、自分専用の荷物をストックしているワゴンを運んだり、PCをLANケーブルに接続したり……といった手間が多いと、すぐに作業に入れないことが意外と大きなストレスになるんです。同時に業務フローのペーパーレス化も進めていますから、KOSの社員は書類などをほとんどPCで管理しています。だから、そもそもワゴンをひとりずつ所持する必要がないんです」(同氏)。さらに効果を高めているのが、用途別にスペースを用意したことだ。「まず、小人数での打ち合わせや、他の社員と連携しながら作業できる可動デスク席を用意しました(写真@)。ここのテーブルとイスにはすべてキャスターが付いているので、簡単に島をつくれます。次に、設計担当用の固定デスク席です(写真A)。設計は長時間作業なので、デスクトップPCを使うのに向いた環境にしてあります。そして、固定デスク席と通路を挟んだ窓側にカウンター席を設置しました(写真B)。比較的静かなゾーンなので、見積書作成や調べ物などの個人作業に集中できるスペースとして使っています。このように、作業内容やワークスタイルに合わせて環境を選べるというフリーアドレス特有のメリットを実現させれば、社員の理解度や活用度も高まるはずです」(同氏)。
●パブリックスペースと執務スペースは明確に分化
パブリックスペース  ワンフロアにフラットな配置を実施したKOS。社員の執務スペースは、ほとんど間仕切りのないオープンな空間に集約させた一方で、メインエントランスや会議室といったパブリックスペースは執務スペースと完全に分離させてある。「これで執務スペースをカードキーで入退室管理できますから、セキュリティの強化につながっています。」(同氏)。なお同社では、会議室にも用途に合わせてバリエーションを持たせている。写真は一番広い会議室で、プレゼンテーターが聞き手にインパクトを与えやすいV字型のテーブルを設置してある。「天井から釣り下がっているのはプロジェクターですが、これもワイヤレスです。面倒な接続なしでPCの画面を投射できるんですよ」(同氏)。このほか、ラグジュアリームードでまとめた応接室や、活発な意見交換に適した丸テーブルを置いたミーティングルームなども用意されている。
●来客の待ち合わせスペースにはバーカウンターも設置
バーカウンター  メインエントランスの裏手には、待ち合わせ用のスペースがある。ユニークなのは、バーカウンターが設置してあることだ。「ちょっとした接待なら社内で対応できるようにしておこうという意図で用意しました。最近はケータリングサービスも充実していますから、このスペース全体を使って懇親会を開催することもあります。日が落ちれば窓からオフィス街の夜景を楽しんでいただくことも可能なので、接客にも適しているんです。お客様に失礼のない範囲で接待費を費用節減できるという意味でも有効ですね」(同氏)。
●コクヨオフィスシステムのレイアウト図
レイアウト図 @エントランス
Aバーカウンター
B会議室・応接室
C執務スペース
Dリフレッシュエリア
会社データ