「成長性」「安全性」「創造性」に配慮したアイデアが満載
株式会社ディーツーコミュニケーションズ
会社紹介
2000年の設立以来、モバイルマーケティングビジネスを手がけて成長してきた株式会社ディーツーコミュニケーションズ(以下D2C社)。2004年に移転を実施した直接的な理由は、従業員が既に約60名となり旧オフィスが手狭となったことだった。同社が移転先として注目したのが、業務上やりとりの多い広告代理店やマスコミ各社へのアクセスに便利で、再開発でも話題を集めた汐留エリア。旧オフィスのレイアウトが場当たり的な変更の繰り返しだったことを反省し、物件選びではスペースの拡張性があることを条件に、180名まで入るスペースを確保。オフィス構築では従業員の働きやすさ、対外的なPR効果に配慮したという。
>>>来客用と従業員用のスペースを完全に分離
エントランス 来客用打ち合わせスペース  新しいオフィスを構築するにあたり、D2C社ではスペースを明確に分けることから始めた。「今回の移転では『成長性』『安全性』『創造性』をキーワードにしました。このうち、成長と安全の具現化として、来客用のスペースと従業員用のスペースを完全に分離させたわけです」(D2C社代表取締役社長・藤田明久氏、以下同)。出入り口は従業員用と来客用とで別々に用意し、来客用のエントランスには印象的なデザインを採用(上写真)。センスの良さや信頼性をPRできるとともに、「以前のオフィスのエントランスを知っている人には、成長も感じ取っていただけます」。また、会議室やミーティングスペースも来客専用の場を確保(下写真)。関係者以外が従業員用のスペースに入る機会・危険を必要最低限に抑えることで、安全性を確保している。「ただし、単に分離するだけでは来客に閉鎖的な印象を与えかねません。そこで、執務スペースとの仕切りにガラスを使い、経営の透明性も感じ取っていただけるように配慮しました」
>>>ガラス張り、指紋認証システムと徹底を期した個人情報保護対策
個人情報取扱室  D2C社の安全性への取り組みとして、最も象徴的なのが、“グラスルーム(個人情報取扱室)”と名付けられたスペース。「個人情報に関する業務専用に設けた個室で、出入り口には指紋認証システムを導入しました。個人情報を扱う機会がない者は、社員であっても入室できません。代表の私も入れないんですよ(笑)」。さらにユニークなのが、壁を全面ガラスにしていること。「不特定多数が監視できるということで、来客からも他の従業員からも執務中の様子が見えるようにしたんです。なかで勤務する者はより緊張感を持って望みますし、来客の方にとっては、情報保護の徹底ぶりが分かる。さまざまな点で有意義だと思っています」
>>>旧オフィスでもっとも効率のよかったコの字型の座席配置を全面導入
執務スペース リフレッシュスペース  執務スペースのレイアウトでは、創造性に配慮。座席配置では、旧オフィスで得たノウハウを生かしたという。「旧オフィスで、突出していい仕事をしていたセクションがあったんですね。そのセクションが他と違ったのは、座席の並びがコの字型になっていたこと。当時は偶然そうなっただけですが、チーム内で非常にコミュニケーションをとりやすかったという話が出まして」。そこでは従業員はコの字の外側を向いて座り、中心部には共用テーブルが設置されていた。「普段は自分の仕事に集中できるし、席を180度回転させるだけで、打ち合わせの場となる。コミュニケーションの頻度や質も上がるわけです」。そこで今回の移転を機に、全部署でこのレイアウトを採用した(上写真)。また、執務スペースの一角には小休止用のリフレッシュスペースも用意している(下写真)。「頭が疲れたときなどは、ほんの数分まどろんだり、景色を眺めたりするだけで頭がスッキリします。こういったスペースも、業務効率アップにつながる大切な要素と考えています」
>>>社長席を社内コミュニケーションに便利な出入り口付近に設置
社長席  D2C社では、各セクションの配置も戦略性に富んでいる。「よく外出する営業セクションは、あえて出入り口から一番遠い場所に配置しました。これでメディアセクションの間を通る機会が自然と増えますから、自然と両者のコミュニケーションが活性化します」。加えて、社長席を出入り口の近くに設置(写真)。あまり類を見ない試みだが、「奥に社長室を設けてこもっていては、従業員との一体感が生まれません。どの社員も私の前を通るので、情報の発信や共有には最適だと思います」。なお、写真の奥に写っているのが経理や総務などの管理部門。機密性の高い業務が多く、静かで業務に集中しやすい環境が望ましいことから、ガラスで仕切って独立させている。
 見た目のインパクト以上に、深遠な狙いをもって構築されたオフィスは、社内外を問わず好評だという。「ルールをつくって押しつけるよりも、自然に創造性が刺激されたり、必然的に安全性を確保できるようなオフィスをつくるほうが効果的。それが結果としてキーワードにもかかげた成長にもつながると思います」
>>>株式会社ディーツーコミュニケーションズのレイアウト図
レイアウト図
会社データ

text by 竹内太郎
photo by 木内 博